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文献詳細

雑誌文献

精神医学36巻12号

1994年12月発行

文献概要

シンポジウム アルツハイマー型痴呆の診断をめぐって

アルツハイマー型老年痴呆の病理診断—その可能性と研究会活動について

著者: 水谷俊雄1

所属機関: 1東京都老人総合研究所神経病理

ページ範囲:P.1307 - P.1314

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 一般的に神経病理学的診断は臨床診断を参考にするが,病変の解釈が臨床診断や症状に左右されることがある。特にアルツハイマー型老年痴呆(SDAT)では,病理診断の根拠が本来正常加齢でもみられる変化であり,現在のところ正常加齢と病的状態の違いを老人斑(SP)やアルツハイマー神経原線維変化(NFT)の量や範囲の違いで表現しているために,臨床診断に影響されやすい。例えば,SPやNFTが広範かっ多量に出現していても臨床的にはSDATと診断されていない場合,逆にSPやNFTの量や広がりは非痴呆例と差がなくてもSDATと臨床診断されている場合では,病理診断が臨床診断に引きずられてしまい,その結果病理像にバリエーションが生じやすい。通常,神経病理診断は,臨床像や診断を参考にして総合的に行われるが,前述のような理由から,我々はあえて非日常的な方法を採用してきた12,13)。本論文では既報の診断基準案をもとに1,000例の連続剖検例を病理診断した結果と「Alzheimer型老年痴呆の神経病理学的診断基準作製に関する研究会」の中間報告をし,病理診断の可能性と問題点を浮き彫りにしたい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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