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文献詳細

雑誌文献

精神医学36巻12号

1994年12月発行

文献概要

「精神医学」への手紙

Letter—抗精神病薬投与中に発作性知覚変容が出現した躁うつ病の1女性例

著者: 白土俊明1 寺尾岳1 大賀哲夫2

所属機関: 1産業医科大学精神医学教室 2日立梅ヶ丘病院

ページ範囲:P.1327 - P.1327

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 福迫ら1)による「抗精神病薬によって発作性知覚変容が出現した躁うつ病の1症例」と類似の症状が生じた躁うつ病女性患者の症例を筆者らも経験したので報告する。
 〈症例〉29歳,女性,躁うつ病。21歳時にうつ病相で初発し,以後3回のうつ病相と4回の躁病相を生じた。4回目躁病相の寛解後にH病院を退院したが,この時の投薬内容はsultopride 600mg/日,zotepine 100mg/日,biperiden 6mg/日,carbamazepine 1,000mg/日であった。退院6日後,発作性知覚変容(以下,発作と略す)が初発した。これは眼球上転に始まり,動悸,呼吸困難,不安感を伴い「ガリバーになったみたいに周りのものが小さく見えて,手を伸ばせば遠くの物にすぐ届くような気がする」という視覚領域の変容体験から構成された。同様の発作は退院当初1週間に約2回の頻度で出現したがzotepineおよびbiperidenを中止しsultoprideを減量していくと2週間に1回へ頻度が減少し,cloxazolam 4mg/日の追加投与後は発作は1回出現したのみであった。さらにsultopride中止以後はcloxazolamを投与しなくても発作は完全に消失したままであった。なお患者に錐体外路症状の出現はなく,月経との関連も認められず,さらに小視発作や偏頭痛の既往もなかった。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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