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「精神医学」への手紙
Letter—抗精神病薬投与中に発作性知覚変容が出現した躁うつ病の1女性例
著者: 白土俊明1 寺尾岳1 大賀哲夫2
所属機関: 1産業医科大学精神医学教室 2日立梅ヶ丘病院
ページ範囲:P.1327 - P.1327
文献購入ページに移動〈症例〉29歳,女性,躁うつ病。21歳時にうつ病相で初発し,以後3回のうつ病相と4回の躁病相を生じた。4回目躁病相の寛解後にH病院を退院したが,この時の投薬内容はsultopride 600mg/日,zotepine 100mg/日,biperiden 6mg/日,carbamazepine 1,000mg/日であった。退院6日後,発作性知覚変容(以下,発作と略す)が初発した。これは眼球上転に始まり,動悸,呼吸困難,不安感を伴い「ガリバーになったみたいに周りのものが小さく見えて,手を伸ばせば遠くの物にすぐ届くような気がする」という視覚領域の変容体験から構成された。同様の発作は退院当初1週間に約2回の頻度で出現したがzotepineおよびbiperidenを中止しsultoprideを減量していくと2週間に1回へ頻度が減少し,cloxazolam 4mg/日の追加投与後は発作は1回出現したのみであった。さらにsultopride中止以後はcloxazolamを投与しなくても発作は完全に消失したままであった。なお患者に錐体外路症状の出現はなく,月経との関連も認められず,さらに小視発作や偏頭痛の既往もなかった。
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