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文献詳細

雑誌文献

精神医学36巻2号

1994年02月発行

文献概要

展望

抗うつ薬とリチウム併用による抗うつ効果増強作用

著者: 寺尾岳1

所属機関: 1産業医科大学精神医学

ページ範囲:P.122 - P.130

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■はじめに
 抗うつ薬とリチウム併用療法の目的の1つは,両者の併用により抗うつ効果を増強させることである。これは難治性うつ病に対する有力な戦略と考えられるが,後述するように,このことが広く認められるようになるまで長い年月を要した。その理由の1つとして,リチウムが躁病治療の第1選択薬として定着するとともに,抗うつ薬との併用では両者の作用が相殺されると考える治療者が多かったためと推察される。しかし,リチウムは抑うつ状態においては賦活作用を発揮することが報告されており19,44,45),抑うつ状態における抗うつ薬との併用は必ずしも矛盾を含むものではない。
 本稿においては,抗うつ効果増強のための抗うつ薬とリチウム併用療法に関して,まず歴史的な流れを展望し,この方法が現時点でほぼ確立された治療法であることを確認する。その上で,この治療法に関し,まだ解決されていない重要な問題をいくつか挙げ,文献的に考察することを目的とする。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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