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研究と報告
Social phobiaと対人恐怖症—文献およびカナダ人自験例についての予備的考察
著者: 中村敬1
所属機関: 1東京慈恵会医科大学精神医学教室
ページ範囲:P.131 - P.139
文献購入ページに移動 【抄録】 DSM-Ⅲ以降,欧米においても次第に注目され始めたsocial phobiaの概念が,我が国の対人恐怖症とどのような関係にあるのか検討することが本稿の目的である。そのためにまず,北米を中心とした最近のsocial phobiaに関する研究を通覧した。1)social phobiaの発症年齢,性差,婚姻状況は対人恐怖症とほぼ同様であった。2)症候学・診断学の見地からはsocial phobiaと空間恐怖との異同,回避性人格障害との関係などが対人恐怖症と対比して検討された。次いで4例のカナダ人のsocial phobiaの症例を提示し,対人恐怖症診断を併せて行い,両者の診断概念の比較を試みた。文献的考察から予想されたとおり,social phobiaの概念はより恐慌性障害あるいは空間恐怖の極に偏っているといえる。
最後にsocial phobiaと対人恐怖症との関係を明らかにするために,多文化間の実証的な比較研究の必要があることが論じられた。
最後にsocial phobiaと対人恐怖症との関係を明らかにするために,多文化間の実証的な比較研究の必要があることが論じられた。
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