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文献詳細

雑誌文献

精神医学36巻2号

1994年02月発行

文献概要

研究と報告

Bromocriptine単剤投与が奏効した思春期周期性精神病の1例

著者: 山川友子1 川崎峰雄1 渡部正行1 齋藤利和1 高畑直彦1

所属機関: 1札幌医科大学医学部神経精神医学教室

ページ範囲:P.177 - P.184

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 【抄録】 症例は15歳の女性で,月経周期に一致してほぼ定型的な躁うつ状態を反復した。躁病相では抑制欠如が目立ち,多弁,多動,精神運動興奮などを呈し,退行が著明であった。うつ病相では思考や行動の制止が強く,時に亜昏迷状態を認めたが,気分変調は軽度であった。各種抗精神病薬,lithium carbonate,carbamazepineのいずれにも反応せず,dopamine受容体作動薬であるbromocriptineの投与により症状の改善が認められた。基礎体温は二相性を示さず,LH surgeの欠如,progesteroneの分泌不全などから,無排卵性周期と考えられた。従前より,周期性精神病の病因として視床下部-下垂体系の機能的低格性が指摘されている。本症例では,bromocriptine投与後から躁うつ病相の発現が抑制され,内分泌学的異常の部分的な改善も認められた。このことは,bromocriptineが下垂体を介したprolactinの分泌を制御するだけではなく,視床下部に作用し症状改善を招来する可能性を示唆するものである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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