icon fsr

文献詳細

雑誌文献

精神医学36巻2号

1994年02月発行

研究と報告

Flunitrazepam投与による健忘と異常行動

著者: 杉浦麗子1 植本雅治1 西野直樹1 中井久夫1

所属機関: 1神戸大学医学部精神神経科

ページ範囲:P.185 - P.190

文献概要

 【抄録】 睡眠導入剤flunitrazepam 4mg服用後約1時間経過した時点から,異常行動を呈し,翌朝には前向性健忘を呈した3症例を経験した(症状精神病1例・精神分裂病2例)。3症例に共通して,服薬約1時間後より入眠困難・焦燥感を訴え,多弁・多動となり,次第に興奮性・攻撃性が高まり,俳徊・脱抑制的な言動を呈した。これらの症状は,日中の精神症状が改善・安定傾向にあるのとは対照的であった。3症例ともに,flunitrazepamを中止あるいは減量し,短時間作用型のbarbiturate系の睡眠導入剤に置換することにより,異常行動の発現は消退した。benzodiazepine系薬物の副作用である奇異反応は,健常人であれば明らかに異常行動とみなされる言動が,精神科入院患者においては,単に〈精神症状の増悪〉として看過され,抗精神病薬のoverdoseや眠前薬の追加投与といった不適切な対応につながる危険性をはらんでいることを強調した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら