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文献詳細

雑誌文献

精神医学36巻2号

1994年02月発行

文献概要

研究と報告

自殺企図後に著明に症状が軽快したうつ病の2症例

著者: 高橋誠1 田中敏恒1 飯田眞1

所属機関: 1新潟大学精神医学教室

ページ範囲:P.191 - P.197

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 【抄録】 自殺企図後に症状の著明な軽快を認めたうつ病の2症例について報告した。これら2症例では自殺を企図した後,抑うつ気分,希死念慮が消退するなど明らかな症状の軽快を認めたが,その数日から2週間後には再び症状が悪化し,抗うつ薬の増量により寛解に導くことができた。うつ病患者においては自殺企図後のカタルシス効果により症状の軽快が起こりうるといわれているが,先行研究の再検討により,カタルシス効果に加えて入院による環境の変化,および自殺企図後の意識障害などの不特定の身体的影響が治療的に作用している可能性が示唆された。しかし今回呈示した2症例では共に1度軽快したうつ病症状が再度悪化しており,このことから自殺企図後の症状の軽快が一時的な現象である可能性が考えられた。したがって,これらの患者に対する治療計画においては,慎重な経過観察と十分な薬物療法の継続が必要であることを指摘した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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