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文献詳細

雑誌文献

精神医学36巻3号

1994年03月発行

文献概要

研究と報告

青年期の高機能自閉症にみられた幻覚・妄想様状態—その症状の特徴と発生のメカニズムについての1考察

著者: 石坂好樹1 村松陽子2 門眞一郎2

所属機関: 1京都大学医学部精神科 2京都市児童福祉センター精神科

ページ範囲:P.249 - P.256

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 【抄録】 思春期青年期になって幻覚・妄想様状態を呈した高機能自閉症(high functioning autism)の症例を2例報告し,このような精神病様状態の特徴とその発症の心的メカニズムを考察した。2症例が示した幻覚・妄想様状態は,体系化されることはなく,要素的であり,その出現が状況依存的であり,また幻覚や妄想の内容は特定の状況や人物あるいは過去の体験と深いつながりがあった。薬物療法,環境の調節および個人精神療法を併用することで,症状は一時的に軽快したが,困難な状況になると再発した。それゆえ,これらの病態はストレスに対する反応性の精神病状態であると考えられた。2症例にこのような症状が出現した要因として,彼らの持つ対人関係の障害や感覚異常,記憶の異常といった自閉症に固有の障害に加えて,いじめられた体験や職場での失敗の体験が関与していると考えられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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