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文献詳細

雑誌文献

精神医学36巻3号

1994年03月発行

研究と報告

9番染色体のpericentric inversionがみられた精神分裂病の3例

著者: 功刀浩1 南光進一郎1 伊豫理絵1 森平淳子1 風祭元1

所属機関: 1帝京大学医学部精神科学教室

ページ範囲:P.257 - P.263

文献概要

 【抄録】 Gバンド法により9番染色体の腕間逆位(pericentric inversion)が見い出された精神分裂病(DSM-Ⅲ-R)の3例(女2例,男1例)を報告した。いずれも染色体の切断部位は(p11;q13)であった。第1例(女)は28歳で発症し,幻聴,幻視などの症状を呈し抗精神病薬によく反応した。第2例(女)は15歳で発症し,病初期はうつ状態が前景に立つパーソナリティ障害と診断されて入院したが,後に急激に精神病症状を呈した。第3例(男)は19歳で発症し,幻聴,被害妄想,緊張病症状などにより入院した。
 3症例に共通した身体的異常は見い出されず,分裂病の経過や病型も異なっていた。また3例の家族歴において分裂病者は存在しなかった。しかし,この染色体異常は,分裂病と病因的関連を持つ可能性があり,連鎖研究の手がかりを与えるものであると考えられ,さらに,今後同様の染色体異常を持つ症例を集積していくことの重要性を示唆している。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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