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研究と報告
反復性短期うつ病性障害(recurrent brief depressive disorder, ICD-10)の1例—診断上の問題とリチウムの有効性
著者: 仙波純一1
所属機関: 1放送大学教養学部
ページ範囲:P.291 - P.295
文献購入ページに移動 【抄録】 2週間以内の短い抑うつ期を,はっきりした正常期を挟んで,ひと月に2回以上繰り返す成人女性例を報告した。抑うつの重篤度は,期間の条件を除けば,うつ病エピソードの診断基準を満たし,ICD-10の反復性短期うつ病性障害と診断された。AngstやMontgomeryらがそれぞれ従来から提唱しているrecurrent brief depressionやintermittent brief depressionの診断基準にも本症例は合致した。しかし,Angstらのいうrecurrent brief depressionの症例には,軽躁病,大うつ病,気分変調症などの既往のあるものも含まれており,一方,Montgomeryらのintermittent brief depressionには反復する自殺企図など境界性人格障害に似た症状の記載があるなど,それぞれの症例には,内容の点においてニュアンスの違いがある。本症例は軽躁病,気分変調症,人格障害などは合併していなかった。また文献的考察を行い,治療的対応にも言及した。
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