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文献詳細

雑誌文献

精神医学36巻3号

1994年03月発行

文献概要

短報

腎透析時の著しいイライラ感にclonazepamが奏効した精神分裂病の1例

著者: 上原徹1 横山知行1 櫻井浩治2 斉藤隆夫3 伊藤陽1 稲月原1 細木俊宏1

所属機関: 1新潟大学医学部精神医学教室 2新潟大学附属医療技術短期大学 3新潟大学医学部第2内科

ページ範囲:P.309 - P.311

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 腎透析が我が国に導入されて20余年が経過し,今日では約12万人の腎不全患者がこの治療法を受けている。腎透析の普及に伴い,腎不全に陥った精神分裂病患者に対して本治療法を行う機会も増加している。一般に透析を導入した際に生じる精神症状としては,透析自体が惹起する身体生物学的変化や,心理社会学的ストレスに反応した精神症状である可能性を考慮しなければならない。しかし,分裂病患者においては,透析という直接的な負荷状況に対しての分裂病症状の悪化,透析による薬物動態の変化のために生じる抗精神病薬の副作用の増強なども念頭に置きながら治療を行っていく必要がある。
 今回我々は,透析開始時より著しいイライラ感を生じ,透析継続が困難になった精神分裂病患者を経験した。本症例のイライラ感には抗パーキンソン薬の増量,抗精神病薬の増量,diazepamの投与などはほとんど効果がなく,clonazepamの投与が著効を示した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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