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文献詳細

雑誌文献

精神医学36巻4号

1994年04月発行

研究と報告

恐慌性障害の症例研究:5—ライフ・イベントについて

著者: 塩入俊樹1 加藤忠史1 村下淳1 濱川浩1 高橋三郎1

所属機関: 1滋賀医科大学精神医学講座

ページ範囲:P.359 - P.365

文献概要

 【抄録】 恐慌性障害にみられるライフ・イベントについて,DSM-Ⅲ-R診断基準によって診断された恐慌性障害の201症例を基にPaykelのライフ・イベントスコアを用いて検討し,以下の結果を得た。
(1)ライフ・イベントについては全体で116名,57.7%の者に認められ,女性にやや多い傾向があった。重症度は極端に重篤なものは少なく,中等度から軽症のものまで広範囲に渡っていた。(2)ライフ・イベントの内容は女性では,患者自身の身体疾患(27.6%),家族や親類などとのトラブル(15.5%)の順になっていた。また女性特有のものとして,子供の誕生(5.2%)や転居(5.2%)が挙げられた。一方,男性では,仕事に関するもの(29.2%),身体疾患(25.7%)との順であった。(3)ライフ・イベントを持たない群において,“めまい感”,“しびれ感”,“胸部不快感”の3項目の出現率が有意に高かった。(4)ライフ・イベントの重症度の平均値は,男性で11.2±3.6点,女性で10.7±3.8点と,やや男性で高い傾向があった。(5)恐慌発作時の各症状とライフ・イベントの重症度との間には有意な相関はなかった。(6)ライフ・イベントの重症度と恐慌発作時の症状項目数との間には,女性群のみ有意な正の相関が認められた(r=0.40,p<0.05)。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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