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文献詳細

雑誌文献

精神医学36巻4号

1994年04月発行

研究と報告

自己瀉血による高度な貧血を示したMünchhausen症候群の1例

著者: 佐々木恵美1 水上勝義1 鈴木利人1 白石博康1

所属機関: 1筑波大学臨床医学系精神医学

ページ範囲:P.395 - P.401

文献概要

 【抄録】 自己瀉血を繰り返し,高度な貧血を示したMünchhausen症候群の1男性例を報告した。本例はAsherのいう「明らかな無意味さ」という特徴と虚言を認め,意図的に貧血や皮膚炎などの症状を産出し,入退院を繰り返したことから,Münchhausen症候群と診断した。従来自己瀉血による貧血(factitious anemia)は大半が精神科以外から報告されており,精神医学的な考察は未だ十分になされていない。また,factitious anelniaを呈したMünchhausen症候群の報告も極めて稀である。Münchhausen症候群とfactitious anemiaの共通の心理的特徴について文献的に若干の考察を行い,本例における攻撃性と被虐性を中心に考察した。さらに,本症候群の治療にはまず医療者側の陰性感情に留意し治療関係の確立に努め,できるかぎり早期から支持的精神療法を中心とする精神科的なアプローチを行うことが重要であることを指摘した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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