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「精神医学」への手紙
Letter—levomepromazine投与中に夜間,下背部痛を生じた1例
著者: 寺尾岳12
所属機関: 1日立健康管理センタ 2産業医科大学精神医学
ページ範囲:P.441 - P.441
文献購入ページに移動本症例において,LPと下背部痛の関連は明らかである。杉原ら1)も,LP投与中に痛みを主とした異常知覚が夜間に出現した9例を認めている。杉原ら1)は痛みの生じる機序に関し,LPの抗ヒスタミン作用と貧血や肥満による末梢循環不全の関与を推定している。本症例において,痛みが臥床時に出現し起立により消失したことは,臥床により圧迫された下背部の末梢循環不全が同部位のLP停滞を惹起したため,痛みが同部位に生じた可能性を示唆している。うつ病患者にLPを就寝前投与することは比較的多いと思われるが,このような患者が下背部痛や腰痛を訴えた場合,整形外科的病態あるいは内科的病態による痛みやうつ病の身体症状としての痛みのほかに,LPによる痛みも念頭に置く必要がある。
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