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特集 精神疾患の新しい診断分類
我が国におけるICD-10の使用に向けて
著者: 浅井昌弘1
所属機関: 1慶應義塾大学医学部精神神経科学教室
ページ範囲:P.463 - P.469
文献購入ページに移動■はじめに
1995年1月から日本ではWHOの第10回修正国際疾病分類(ICD-10)3)を用いることになった。ICDは精神障害だけではなくすべての身体疾患の分類を含むものであり,日本では過去15年間にわたって疾病統計から医療保険の適応病名に至るまでICD-9による分類が用いられていた。精神障害については日本の慣用分類をICD-9に適宜に当てはめて実用的に使用してきたのである。
しかし,ICD-10はICD-9とはかなり大きく変化しているので,ICD-10を円滑に使いこなすためにはICD-10の種々の特徴についてできるだけよく理解しておく必要がある。個々の精神障害の名称や分類法がどのように変更されたかについては,すでに出版されている単行本3,9,10)に詳しく新しいICD-10が記載されているので,ここではICD-10が目指す国際性の意義に触れ,次いで日本におけるICD関係の出来事を振り返り,精神障害のICD-10には種々の版があることを述べてから,ICD-10へ移行する際に生じうる実際的な諸問題2)の概観を試みることにしたい。
1995年1月から日本ではWHOの第10回修正国際疾病分類(ICD-10)3)を用いることになった。ICDは精神障害だけではなくすべての身体疾患の分類を含むものであり,日本では過去15年間にわたって疾病統計から医療保険の適応病名に至るまでICD-9による分類が用いられていた。精神障害については日本の慣用分類をICD-9に適宜に当てはめて実用的に使用してきたのである。
しかし,ICD-10はICD-9とはかなり大きく変化しているので,ICD-10を円滑に使いこなすためにはICD-10の種々の特徴についてできるだけよく理解しておく必要がある。個々の精神障害の名称や分類法がどのように変更されたかについては,すでに出版されている単行本3,9,10)に詳しく新しいICD-10が記載されているので,ここではICD-10が目指す国際性の意義に触れ,次いで日本におけるICD関係の出来事を振り返り,精神障害のICD-10には種々の版があることを述べてから,ICD-10へ移行する際に生じうる実際的な諸問題2)の概観を試みることにしたい。
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