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特集 精神疾患の新しい診断分類
DSM-Ⅳ作成の基本原則
著者: 高橋三郎1 染矢俊幸1
所属機関: 1滋賀医科大学精神医学講座
ページ範囲:P.471 - P.478
文献購入ページに移動世界保健機関による国際疾病分類第10版(ICD-10)の施行(1992)に伴い25),DSM-Ⅲ-RもDSM-Ⅳに改定されて1994年春にはいよいよ施行される。国際交流を促進し,研究を推進するためには,この両者はできるかぎり近いものにすべきであるが,DSM-Ⅳの各精神障害カテゴリーの診断基準と症状の記載を作成する委員会は重要な決定をいくつか行わなければならなかった。すなわち,ICD-10における定義が,DSM-Ⅲ-Rと比べてかなり違ったものとなっているものも多々あるからである。例えば,DSM-Ⅲ-Rでは,華々しい精神病症状が1週間続くこと,全体としての持続期間は6カ月以上であることが精神分裂病の時間基準とされていたが,ICD-10では,華々しい症状が1カ月あるだけでよい。
DSM-Ⅳ作成にあたり,診断基準と症状の記載を決定する手順は,どのカテゴリーにとっても同じ手順がとられた。いくつかの重要な問題点を決定し,それを解決するために多数の文献を見直し,診断基準にいくつかの選択肢を作成し,それぞれの選択肢を臨床試行によって評価するという一連の手順である。発表された診断基準を使用するだけの立場にある我が国の臨床家はえてしてこうした手順が長い時間をかけて行われたことを忘れがちである。
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