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文献詳細

雑誌文献

精神医学36巻6号

1994年06月発行

特集 精神医学と生物科学のクロストーク

分裂病病因に関するトランスミッター研究の現況

著者: 内村英幸1 田原孝1

所属機関: 1国立肥前療養所

ページ範囲:P.564 - P.570

文献概要

■はじめに
 1976年にSeemanとSnyderの2つの研究グループが,3H-haloperidol結合に対する各種の抗精神病薬の阻害作用力価と臨床用量がよく相関することを報告した。この結合阻害力価としてのIC50値は,血漿中の遊離薬剤濃度とほぼ一致していた。これらの報告以来10年間は,ドパミン(DA)仮説が分裂病病因の中心課題であった14)。特に分裂病死後脳の尾状核,淡蒼球,側坐核で,D2受容体(D2R)が増加しているという多くの報告がなされた30)。抗精神病薬の影響についても論じられてきたが,服薬していない新鮮分裂病患者のD2Rに関するPET所見はまだ一致した見解に至っていない。
 実際の臨床治療では種々の抗精神病薬が使用され,その臨床効果は各々異なっており,D2R遮断作用のみで作用機序を説明するのは無理である。さらに,薬物抵抗性の難治例や陰性症状を主とする欠陥状態は,薬物効果の限界を示しており,その病態はほとんど解明されていない。しかし,1990年代に入って新たな展開がみられてきており,分裂病の病因というより病態に関与する神経伝達物質関連についての現状について述べることにしたい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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