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文献詳細

雑誌文献

精神医学36巻6号

1994年06月発行

文献概要

特集 精神医学と生物科学のクロストーク

カテコールアミン系の分子生物学

著者: 永津俊治1

所属機関: 1藤田保健衛生大学医学部総合医科学研究所分子遺伝学研究部門Ⅱ神経化学

ページ範囲:P.571 - P.578

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 カテコールアミン(CA)はカテコール核を持つ生体アミンの総名称で,ドーパミン,ノルアドレナリン(ノルエピネフリン),アドレナリン(エピネフリン)の3種がある。脳のドーパミン神経(ニューロン),ノルアドレナリンニューロン,アドレナリンニューロンの3種のニューロン,および末梢交感神経のノルアドレナリンニューロンでCAが生合成されてシナプス小胞に貯蔵され,神経終末より神経伝達物質としてシナプス間隙へ放出されてシナプス後部細胞の受容体と結合して神経伝達が起こる。副腎髄質のアドレナリン細胞とノルアドレナリン細胞で生合成されたアドレナリンとノルアドレナリンはホルモンとして血液へ放出される。脳のドーパミンニューロン,ノルアドレナリンニューロン,アドレナリンニューロンは細胞体が脳幹部に局在して,脳全体に分布しているが,3種のCAニューロンは異なる脳内分布をしており,脳の神経回路網で,シナプス後部のドーパミン受容体,α受容体,β受容体を介して働き,運動,感情,学習,生体リズム,血圧,生殖,内分泌などの種々の重要な脳機能を調節している。末梢の交感神経ノルアドレナリンニューロンは全身の血管,心臓,平滑筋組織,腺組織などに分布しており,副腎髄質よりホルモンとして分布されるアドレナリン,ノルアドレナリンと共に,α受容体,β受容体を介して,心臓などの全身の臓器に作用して,血圧や血糖の調節,ストレス反応などの重要な生理調節に働いている。
 CAはパーキンソン病,精神分裂病,感情障害などの神経精神疾患の病態に深く関連している。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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