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研究と報告
精神分裂病者における身体の周辺空間の分節化
著者: 横田正夫1
所属機関: 1日本大学文理学部心理学研究室
ページ範囲:P.633 - P.640
文献購入ページに移動 【抄録】 精神分裂病患者が身体の周辺空間をどのように分節化しているかについて調べることを目的にし,予備調査として,分裂病患者20名と正常者19名に,上から見たような刺激身体図の描かれている用紙を与え,その身体図の前後の範囲を直接描き加えるように求めた。その結果,半数の分裂病患者が前後の範囲を領域として表すことに失敗した。そこで,本実験では,分裂病患者29名,正常者22名に,刺激身体図を中心にそれを囲む円を新たに描き加えた用紙を与え,それに区切り線を入れることで身体の前後右左の範囲を表させることにした。その結果,区切られた範囲は,分裂病患者では,正常者に比べ前後右左のいずれにおいても狭く,しかも正常者と異なり,それら4方向で身体を中心とした360度全体を被うことができなかった。このことは分裂病患者では,身体の前後右左が断片化し,身体の周辺空間の分節化が不十分であることを意味する。
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