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研究と報告
気分障害を共に呈した夫婦の家族力動
著者: 北西憲二1
所属機関: 1東京慈恵会医科大学第3病院精神医学教室
ページ範囲:P.689 - P.696
文献購入ページに移動 【抄録】 4組の夫婦躁うつ病者を挙げ,その関係の特徴と相互の病期の関連について述べた。4夫婦は,いずれも双極性と単極性という組み合わせで,相互依存の病理を基盤とした相補的役割関係が認められた。そしてこれら夫婦の関係を“共生”としてとらえ,その様態の特徴を①偽母子関係(相互依存の病理),②世話と反逆,③相互の境界のあいまいさ,の3つにまとめ,論じた。
躁うつ病の発症,経過の相互関連では,①連鎖関係(一方の(躁)うつ病の発症,悪化あるいは消失が他方の発症を引き起こす,あるいは他者の抑うつ反応を連鎖的に引き起こす),②相補関係(一方の躁うつ病は他方の病期を抑制し,夫婦での決定的破局を避ける傾向)などが認められた。治療は一般に困難である。共生関係の時間をかけた調整が重要で,閉鎖的な関係を修正する意味でも,夫婦同席面接や集団精神療法は有用な手段と考えられた。
躁うつ病の発症,経過の相互関連では,①連鎖関係(一方の(躁)うつ病の発症,悪化あるいは消失が他方の発症を引き起こす,あるいは他者の抑うつ反応を連鎖的に引き起こす),②相補関係(一方の躁うつ病は他方の病期を抑制し,夫婦での決定的破局を避ける傾向)などが認められた。治療は一般に困難である。共生関係の時間をかけた調整が重要で,閉鎖的な関係を修正する意味でも,夫婦同席面接や集団精神療法は有用な手段と考えられた。
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