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文献詳細

雑誌文献

精神医学36巻7号

1994年07月発行

文献概要

研究と報告

境界性人格障害と大うつ病の認知的および症候論的違いについて

著者: 町沢静夫1

所属機関: 1国立精神・神経センター,精神保健研究所成人精神保健部

ページ範囲:P.713 - P.720

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 【抄録】 境界性人格障害(BPD)は大うつ病とのつながりは深い。両者の合併率の高さと遺伝負因の高さはそれを示している。したがってBPDは大うつ病の1亜型と考えられる可能性を有している。筆者はうつ病認知尺度,ハミルトンうつ病尺度をBPD群,大うつ病群,神経症群,正常コントロールに施行し,ボーダーライン・スケールをBPD群と大うつ病群に施行し,その結果を分析した。それによるとBPDは大うつ病に比し,人生の挫折感,他者との比較傾向,依存心,人間不信,行動や思考の非一貫性,自虐的衝動性,気分変動性,離人症(現実感喪失・虚無感),強迫観念,さらに見捨てられ感を中心とする対人関係の障害の点で大うつ病と異なることがわかった。したがってBPDはBPDとして独自の症状群とみなせるものと考えた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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