文献詳細
文献概要
研究と報告
水中毒から悪性症候群様状態を示した接枝分裂病の1例
著者: 西嶋康一1 関口清1 石黒健夫1 海老根廣行2 本田雅浩2 名郷直樹2 松山尚弘3 新井進4
所属機関: 1自治医科大学精神科 2自治医科大学地域医療 3自治医科大学ICU 4小山富士見台病院
ページ範囲:P.721 - P.728
文献購入ページに移動症例は長期間精神病院に入院中の27歳の男性患者。大量の飲水後,意識障害,けいれん,嘔吐,失禁を認め,血清Naは106mEq/lと低値で,血清CPK値は34,640IU/lと異常高値であった。体温が40℃を越え下降しないため,ICUに転院となった。ICUでは,DIC傾向,肝不全の状態を呈したがintensiveな治療により改善に向かった。その後,電解質が補正されているにもかかわらず意識障害が持続し,体温も38℃以下に下降せず,異常な発汗,流涎,頻脈などを認めたため,水中毒改善途中より悪性症候群の過程が始まったものと考えた。ダントロレンを投与したが十分な効果を認めないため,レボドーパを追加投与したところ,著しい意識障害の改善,体温の下降,流涎の減少などを認めた。本症例では,全経過中筋強剛を認めない点が特徴的であった。
掲載誌情報