icon fsr

文献詳細

雑誌文献

精神医学36巻7号

1994年07月発行

文献概要

研究と報告

水中毒に引き続いて横紋筋融解症と悪性症候群様エピソードを呈した精神分裂病の1例

著者: 稲月原1 鈴木健司1 稲月まどか1 伊藤陽1 堀越立2 山内雷三2 飯塚健2

所属機関: 1新潟大学医学部精神医学教室 2飯塚病院

ページ範囲:P.729 - P.734

文献購入ページに移動
 【抄録】 多飲水による急性水中毒に引き続いて横紋筋融解症と悪性症候群様エピソードを呈した症例を経験した。症例は発病後10年を経過した精神分裂病の男性である。2l以上の多飲水後に急性水中毒状態となり,4日後に発熱,筋強剛,著明な発汗・流涎,血圧・脈拍の変動を認め,血清CPK値,血清および尿中myoglobin値,血清aldolase値が異常高値を示し,悪性症候群様エピソードと横紋筋融解症を呈した。dantroleneおよびbromocriptineの投与により約3週間の経過で残遺症状を認めずに回復した。本例では悪性症候群様エピソードの発症に先立って,横紋筋融解が起きていたことを示唆する持続的褐色尿,GOTおよびLDH高値が認められたことから,急性水中毒によって引き起こされた骨格筋の損傷が,悪性症候群様エピソードの発症にいわば準備状態として関与した可能性について考察した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?