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文献詳細

雑誌文献

精神医学36巻7号

1994年07月発行

研究と報告

抑うつ状態,せん妄状態を繰り返して,痴呆を呈するに至った肝性脳症の1症例—MRI上の淡蒼球病変と123I-IMP SPECT所見

著者: 真下清1 榎田雅夫1 山内俊雄1

所属機関: 1埼玉医科大学精神医学教室

ページ範囲:P.735 - P.741

文献概要

 【抄録】 肝性脳症は意識障害のみならず,抑うつ状態,人格変化,痴呆など様々な精神症状を示すといわれる。今回我々は58歳,女性の肝性脳症の1症例を経験した。本症例は肝硬変の既往があるが,抑うつ状態で発症したため,当初うつ病と診断された。肝性脳症の治療を行ったが,せん妄が繰り返され,その消失後も行動抑制や抑うつ気分を伴う痴呆症状が持続した。頭部MRIのT1強調画像では両側淡蒼球は高信号域を示した。123I-IMP SPECTでは両側前頭葉に血流低下を認めたが,精神症状の改善に伴い血流所見の改善をみた。
 本症例の精神症状には肝性脳症による不可逆的な脳機能障害の関与が推測された。本症例にみられた頭部MRIの淡蒼球病変と,SPECTで認められた前頭葉の経時的な所見は,痴呆症状との関連において示唆を与えると思われた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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