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文献詳細

雑誌文献

精神医学36巻8号

1994年08月発行

研究と報告

アルコール依存症患者における視床下部-下垂体-副腎皮質系の機能異常

著者: 井田能成1 辻丸秀策1 向笠浩貴1 白尾一正1 中沢洋一1

所属機関: 1久留米大学医学部精神神経科学教室

ページ範囲:P.815 - P.819

文献概要

 【抄録】 16名のアルコール依存症患者を対象にして,入院2日目,7日目,14日目,28日目の午後4時の血漿ACTH値と血清cortisol値を測定し,13名の健常者の午後4時の値と比較した。各採血時刻における離脱症状の程度はCIWA-Aを用いて評価した。入院2日目にはACTHは正常値であったがcortisolは高値を呈し,cortisolの高値の程度は離脱症状の重篤度と正の相関関係を示した。離脱症状がほぼ消退した入院7日目にはACTHは低値をcortisolは正常値を示したが,入院14日目にはACTH,cortisolともに低値を示し,入院28日目にはいずれも正常値まで回復した。これらのことから,アルコール依存症患者では急性離脱期にはACTHの過剰分泌を伴わない過cortisol血症を呈するが,その発症には長期間の反復飲酒の結果生じた視床下部-下垂体-副腎皮質系の機能異常に離脱症状の出現が加わることが関係している可能性が,またそのような機能異常は断酒後4週間以内に正常化することが示唆された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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