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文献詳細

雑誌文献

精神医学36巻8号

1994年08月発行

文献概要

研究と報告

単純肥満についての心理学的考察

著者: 石井雄吉1 八木美楠子1 相田葉子1 石原学2 井上修二2 小阪憲司3

所属機関: 1横浜市立大学医学部附属浦舟病院心理室 2横浜市立大学医学部内科学第3講座 3横浜市立大学医学部精神医学講座

ページ範囲:P.853 - P.860

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 【抄録】 Lerner Defense Scaleを用いて,女性17例の難治性単純肥満(SO)群と女性15例の健常(N)群のロールシャッハ・テストにみられるprimitive defense mechanisms(PDM)現象を比較し,人格構造の観点から,SOにおける統制困難な過食について検討した。PDMの比較では,SO群はN群に比して,borderline personality organization(BPO)における中心的な防衛メカニズムである分裂を有意に多く示した。また,投影性同一視は,統計的に有意ではないが,SO群のみに認められた。このようなPDMの布置は,SOにおける基礎をなすBPOを示すものである。そこで,基礎をなすBPOを共有するSOと摂食障害は,境界例症候群の1亜型と考えられた。SOは,女性に優勢であった。これは,体質的要因と環境的要因との相互作用による,女性に特徴的な攻撃性の抑制に基づくと考えられ,現代女性の行動化の変化と比較すると,SOにおける統制困難な過食は,古典的な防衛であると考えられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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