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巻頭言
高齢者介護の行方
著者: 三山吉夫1
所属機関: 1宮崎医科大学精神科
ページ範囲:P.898 - P.899
文献購入ページに移動現在でも,精神科の老人病棟や老人福祉施設は,平均寿命をはるかに超した老人達であふれている。老人福祉対策が遅れているかの地では,老人ケア110番の看板はあっても,話は聞いてくれるが,即対応はしてもらえない。病者のための老人福祉施設は,申し込んで早くて6カ月,通常は1年待つことになる。老人のデイサービスも市役所に申し込むと「いつになるかわかりませんがそのうち連絡します」と一応に返事されている。施設が空いた時には,すでに本人は死亡していたケースの話も珍しくない,と聞く。痴呆性老人治療専門病棟も常時満床で待ちの状態である。私が大学に引きこもっているせいか,市町村の老人保健福祉計画が見えてこない。それなりに進んでいるとの説明を聞くが,活動のテンポがわかりにくい。国は高齢者保健福祉推進10カ年戦略と言っていたが,時間をかけるわりには肝心なものが見えてこない。国の「21世紀に向けた介護システム試案」もまだ定まっていないようである。政局が不安定なので,親亀の背中に乗った子亀の心境かと察しられる。
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