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雑誌詳細

文献概要

研究と報告

単極型躁病の類型と発病状況

著者: 坂口正道12 木崎康夫23 梅津寛45

所属機関: 1東京都立府中病院神経科 2元,東京都立松沢病院 3JR東日本中央保健管理所 4東京都立墨東病院神経科 5前,東京都立松沢病院

ページ範囲:P.909 - P.918

 【抄録】 3回以上の躁病相が確認され,抑うつ状態のみられなかった13例の単極型躁病について,病前性格-誘因状況-経過型から類型化し,いくつかの特徴を考察した。症例はⅠ型:循環性格を全く含まない精力-熱中性格者で自ら作り出した負荷状況で発症しやすい(3例),Ⅱ型:熱中性の強い循環性格者で一定の負荷状況で発症しやすい(2例),Ⅲ型:熱中性を含まない循環性格者で身体面の不調など日常的な状況で発症しやすい(3例),Ⅳ型:発揚-軽佻的性格者で誘因は確認されず青年期から種々の適応不全を示す(5例)に4分類された。総じて対人関係上の状況性はほとんどみられず,長期例でも人格水準の低下はなく,予後も良好で,遺伝負因は少ない。このような臨床経過全体の印象から,うつ病とはもちろん両極型の躁うつ病とも異なる比較的独立した単極型躁病の存在する可能性が示唆された。

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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