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文献詳細

雑誌文献

精神医学36巻9号

1994年09月発行

研究と報告

小児崩壊性障害と診断された1症例

著者: 白谷敏宏1 井料学1 亀井健二1 森岡洋史1 長友医継1 冨永秀文1 上山健一1 松本啓1 留野朋子2 河野一成2

所属機関: 1鹿児島大学医学部神経精神医学教室 2都城新生病院

ページ範囲:P.949 - P.954

文献概要

 【抄録】 言語の消失,精神的不穏を主訴に受診した9歳11カ月の女児例を報告した。初めて明らかな異常に気づかれたのは7歳の時であり,それまでの発達は一見ほぼ正常に近いものであったと考えられた。その後,言語面の退行,対人・社会性の障害および執着傾向の出現がみられ,本症例はICD-10の小児崩壊性障害と診断された。本障害は現在では自閉症近縁の広汎性発達障害の1型と考えられているが,本患児の表情や態度は,これまでの多くの報告と異なり,むしろ人なつっこく,自閉症とは一線を画するものであった。また,本障害では,発症に先行する心理・社会的ストレスの存在が高率に認められることが指摘されているが,本症例においても患児が4歳の時に両親が離婚しており,障害の発症の契機と心理的ストレスの関係について考察し,この観点から本症例の発症の時期は,母親が異常に気づいた頃よりも遡る可能性があることを示した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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