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文献詳細

雑誌文献

精神医学36巻9号

1994年09月発行

研究と報告

バイオフィードバックおよび森田療法的アプローチが有効であった多汗症の1例

著者: 松永勉1 大原浩市1 宮里勝政1 大原健士郎1

所属機関: 1浜松医科大学精神医学教室

ページ範囲:P.955 - P.961

文献概要

 【抄録】 28歳の男性の多汗症患者に対し,皮膚電気抵抗およびα波によるバイオフィードバック(以下BF)療法に外来森田療法的精神療法を加えて施行し,良好な治療成績を得た。皮膚電気抵抗によるBF療法によって自発性皮膚抵抗反射の頻度が減少し皮膚基抵抗値が増加したことが,発汗量の減少をもたらしたと考えられた。またα波の出現頻度と振幅を増加させる訓練は,高まった自律神経系の活動性を正常化させ,発汗を抑制する効果をもたらしたと推測された。本症例においては前頭葉—脳幹網様体—視床下部—自律神経系が多汗症の発病に関与していたと考えられた。本症例はその病理発生において森田療法理論の発病メカニズムが妥当性を有したために,森田療法的アプローチの併用が有効であったともいえるが,森田療法は本来,人間存在の自然な在り方を志向するものであり,様々な治療法に併用して用いることが可能であると考えられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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