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文献詳細

雑誌文献

精神医学37巻1号

1995年01月発行

特集 分裂病者の社会復帰—新しい展開

精神障害者の職業リハビリテーション制度の現状と課題

著者: 舘暁夫1 岡上和雄2

所属機関: 1職業能力開発大学校福祉工学科 2中央大学法学部

ページ範囲:P.65 - P.71

文献概要

 憲法27条(勤労の権利)を引用するまでもなく,職業を通じて生活を維持し,社会参加し,自己実現(生きがい)を図ることは障害の有無にかかわらず,我々の基本的人権の一部である。例えば,国連は1975年の「障害者の権利宣言」において,「能力に応じて,職業を獲得し,かつ維持し,有益で生産的かつ有利な職業に従事する権利」を障害者の権利として掲げ,加盟各国にそれらの確保を要請した。ここでいう「障害者」に精神障害者が含まれているのはいうまでもない。
 国内では,労働権保障のための小規模作業所運動が民間により,熱心に取り組まれる一方で,精神障害者に対する行政の職業・雇用対策は他の障害よりも遅れて始まった。職業リハビリテーションの基本法である旧「身体障害者雇用/足進法」の制定は1960年であったが,それは一部の身体障害者を対象にした,雇用率といっても雇用義務を伴わない内容の簿いものであった。その後,1976年に雇用義務,雇用率,雇用納付金制度が規定され,実質的なものとなったが,依然対象は身体障害者に限定されていた。1981年の「国際障害者年」も精神障害の人権擁護,「障害」理解を進め,法改正に力があった。精神障害者がその対象に加えられるのは,1988年の「障害者の雇用の促進等に関する法律」(以後,雇用促進法と略称)成立によってである。同法により,まだ十分とはいえないが,遅れていた精神障害者の職業リハビリテーションも制度的には,他の障害と肩を並べる位置に達しようとしている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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