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文献詳細

雑誌文献

精神医学37巻1号

1995年01月発行

文献概要

研究と報告

空想的な視覚表象が長期にわたり継続した2症例

著者: 武井茂樹1 濱田秀伯1

所属機関: 1慶應義塾大学医学部精神神経科学教室

ページ範囲:P.79 - P.85

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 【抄録】空想的な視覚表象が長期にわたり継続し,病像の前景を占めた2症例を報告した。視覚表象はいずれも青年期に生じ,その内容は空想的,願望充足的なもので,初期には断片的であったものが次第に体系化し,1つの物語に発展した。この視覚表象は感覚的に生き生きとし,持続性,不随意性を有するが,内部の主観空間に現れ,実体性を欠くことから仮性幻覚とみられる。主体に対する支配性,束縛性を有する点からは,フランスでいう仮性幻覚に近く,特に統覚性自動表象ないし影響症候群に相当すると考えた。診断は精神分裂病と思われるが,視覚表象の出現機序について,病態,誘因,認知神経科学などの側面から考察を加えた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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