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文献詳細

雑誌文献

精神医学37巻1号

1995年01月発行

研究と報告

ランダム性生成課題による精神分裂病者の思考障害の検討

著者: 伊藤宗親1 太田克也2 小川俊樹3 恩田寛4

所属機関: 1筑波大学心理学研究科 2東京医科歯科大学神経精神医学教室 3筑波大学心理学系 4恩田第二病院

ページ範囲:P.87 - P.94

文献概要

 【抄録】精神分裂病の思考障害を,思考機能の評価に有用とされるランダム性生成課題を用いて検討した。ランダム性生成課題とはでたらめな系列を生成する課題であり,従来の「数」を用いた課題に加え,新たに日本語の「かな」を用いた課題を行い精神分裂病群((n=12)と健常者群(n=16)との間で比較を試みた。その結果,従来の研究と同様に「かな」を素材としたランダム性生成課題でも,精神分裂病群に保続反応が有意に多く産出された。このことから,保続という思考形式の障害が精神分裂病群に特徴的であることが示された。また,その生成時間の比較から,かなランダム性生成課題において精神分裂病者は生成時間が長くなることが示され,これも陰性思考形式の障害である生産性の低下によるものであると考えられた。そして,ランダム性の質的な検討の結果,精神裂病者においては濁音ど清音以外の「かな」が有意に産出され,有意味語を多く産出することが示された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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