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文献詳細

雑誌文献

精神医学37巻10号

1995年10月発行

文献概要

研究と報告

学習理論からみた心的外傷後ストレス障害の発症・維持機制と治療

著者: 木津明彦1

所属機関: 1函館渡辺病院

ページ範囲:P.1049 - P.1055

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 【抄録】心的外傷後ストレス障害(PTSD)の発症機制および治療について,症例を呈示し,主として学習理論の立場に生物学的視点を加味して考察した。本症は,生物学的には「重度のストレスを契機として,交感神経系,視床下部―下垂体―副腎系,内因性オピオイド系などの異常が慢性に持続する病態」とされているが,学習理論の立場からは「外傷事件を契機として条件づけられた恐怖反応」と考えられる。そこで,生物学的にみた重度のストレスは,条件づけにおける強烈な無条件刺激に相当し,外傷体験後に持続する各種生物学的異常は,条件づけられた恐怖反応の消去の阻害要因の1つとみることができる。本症の治療はこのような発症モデルに基づいて,発症の促進要因と症状の消去過程の阻害要因を把握し,学習理論の臨床的応用である行動療法および生物学的研究成果である薬物療法を相補的統合的に適用することが重要である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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