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文献詳細

雑誌文献

精神医学37巻10号

1995年10月発行

研究と報告

摂食障害と結婚(1)—結婚前発症の14症例について

著者: 切池信夫1 永田利彦1 松永寿人1 飛谷渉1

所属機関: 1大阪市立大学医学部神経精神医学教室

ページ範囲:P.1057 - P.1061

文献概要

 【抄録】anorexia nervosaやbulimia nervosaなどの摂食障害を結婚前に発症した14例,調査時年齢,罹病期間を適合させた結婚歴のない独身15例,思春期発症の独身14例について患者背景および,臨床像について比較した。既婚例は,思春期発症の独身例に比し,初発および調査時年齢において高く,罹病期間が長かった。しかし臨床像において異ならず,既婚例も独身例も過食や嘔吐を示すbulimia nervosaが過半数を占めた。一方,調査時年齢と罹病期間を適合させた独身例との比較では,患者背景,臨床像および経過においても同じ傾向を示した。結婚後の臨床像の変化についてみると,4例が結婚または離婚後に摂食行動の悪化を示したが,他の症例は変化しなかった。以上のことから,結婚前に摂食障害を発症し,これが完治せず,結婚後も持続している場合,結婚は摂食障害を克服する契機とならず,生活上の困難に直面した時に悪化し,長期の経過をとり予後は悪いものと考えられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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