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文献詳細

雑誌文献

精神医学37巻10号

1995年10月発行

文献概要

研究と報告

水中毒と悪性症候群の関係について

著者: 井上雄一1 松崎太志1 西川真理子2 室津和男3 杉原徳郎4 浜副薫5 挟間秀文1

所属機関: 1鳥取大学医学部神経精神医学教室 2西川病院 3松江赤十字病院精神科 4杉原クリニック 5皆生小児療育センター

ページ範囲:P.1063 - P.1070

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 【抄録】水中毒に悪性症候群(neuroleptic malignant syndrome;以下NMS)を合併した6症例について,その臨床症状と各種検査所見の推移について検討し,水中毒とNMSの病態上の因果関係につき考察した。
 NMS症状の臨床類型としては,4症例が錐体外路症状を主体とした不全型であり,2症例が完全型であった。またNMSの発症は,水中毒が起こってから1〜2日後であり,NMS発症時点では血清Na値はほとんどの症例で正常化していた。また,血清CPKは水中毒発症時点ですでに高値を呈していたが,NMS移行後さらに上昇した。水中毒―NMSの全経過は10日前後で,後遺症状を残した者はなかった。
 以上より,水中毒はNMS発症の強い要因となるものであり,特に錐体外路症状との因果関係が深いと考えられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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