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文献詳細

雑誌文献

精神医学37巻10号

1995年10月発行

文献概要

研究と報告

せん妄の回復に関連する臨床要因について

著者: 狩野正之1 宮永和夫2 町山幸輝2

所属機関: 1館林厚生病院精神神経科 2群馬大学医学部神経精神医学教室

ページ範囲:P.1071 - P.1077

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 【抄録】せん妄の回復の良否に影響を及ぼす臨床要因を明らかにするため,一般診療科入院中に発症したせん妄116例の回復状況を調べ,臨床要因との関連を検討した。治療開始から2週以内に116例中71例(61%)の患者が回復し,以後回復率の著しい低下がみられ,20例(17%)が遅れて回復した。25例(22%)は死亡あるいは痴呆への移行という非回復の転帰をとった。2週間以内の短期回復群と比較し遷延群では,発症から治療までの期間が有意に長かった。短期回復群と非回復群の比較では,基礎疾患の種類が異なり,非回復群では悪性腫瘍が多かった。また非回復群ではせん妄持続期間が有意に長かった。短期回復群と遷延群あるいは非回復群との間で,性,年齢,痴呆の合併率,重症度,治療薬物の使用率では有意な差はなかった。以上より,せん妄の回復期間は治療開始までの期間,また転帰は基礎疾患の種類およびせん妄の持続期間と関連していると考えられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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