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文献詳細

雑誌文献

精神医学37巻10号

1995年10月発行

文献概要

研究と報告

経過中に急性精神病像を示した両側前頭葉障害の2例

著者: 奥田正英1 松井明子12 藤田慎三1 鈴木祐一郎2 濱中淑彦2

所属機関: 1八事病院精神科 2名古屋市立大学医学部精神神経科学教室

ページ範囲:P.1085 - P.1092

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 【抄録】両側前頭葉に限局した損傷を持ち,50歳ころから精神運動性興奮,高揚感や至福感あるいは抑うつ感などを示す気分変調,妄想気分や被害妄想,時に誇大妄想に至る妄想や幻覚などの急性精神病像を繰り返した2症例を報告し,精神医学的,神経心理学的,そして画像診断学的な検討を行った。この損傷は,いわゆる分水嶺梗塞と考えられたが,発生時期や原因は不明であり,気分や精神運動性の変調,そして幻覚や妄想などの多彩な精神症状と両側前頭葉病変とを直接関連づけるには慎重を期する必要があると考えた。注意障害のある1例にAPT(Attention Process Training)を実施したところ,発動性の改善と社会的外向がみられ復職した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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