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文献詳細

雑誌文献

精神医学37巻10号

1995年10月発行

文献概要

短報

慢性精神分裂病の患者2症例に併発した恐慌発作に対する塩酸トラゾドンの効果

著者: 善本正樹1 樋口久1 穂積慧2 清水徹男1 菱川泰夫1

所属機関: 1秋田大学医学部精神科学教室 2協和病院

ページ範囲:P.1105 - P.1108

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 長期間にわたって抗精神病薬を服用している精神分裂病の患者において,恐慌発作が高頻度に認められるとの報告がある1)。しかし,精神分裂病の患者にみられる恐慌発作に対しては,恐慌性障害(DSM-Ⅲ-R)の患者と同様に,alprazolamやimipramineが有効だとする報告4,9)や,抗精神病薬の減量によって恐慌発作が軽減したとする報告1)などがあり,その治療方法は十分に確立されているとは言い難い。
 今回,我々は,DSM-Ⅲ-Rで恐慌性障害の診断基準を満たす特徴を備えた恐慌発作と強い抑うつ気分を呈した慢性精神分裂病の患者2症例に対して,塩酸トラゾドンを投与したところ,恐慌発作と抑うつ気分に対して著明な改善がみられ,その後も,安定した経過をたどったという経験をした。また,この臨床知見をもとに,精神分裂病の患者にしばしば合併する恐慌発作の発症機序や薬物治療について若干の考察を加えた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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