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文献詳細

雑誌文献

精神医学37巻11号

1995年11月発行

文献概要

研究と報告

慢性精神分裂病患者におけるリズム形成の特徴—打楽器を用いた試み

著者: 塩入俊樹13 江川久美子2 村下淳3 高橋三郎1

所属機関: 1滋賀医科大学精神医学講座 2宇治黄檗病院 3滋賀里病院

ページ範囲:P.1161 - P.1169

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 【抄録】精神分裂病を対象にした音楽療法の試みは,すでに多施設によってなされてきており,その中で「分裂病性音楽」の存在については疑う余地はない。しかしこの問題に関して客観的指標を用い,正常者群との比較を行った報告はない。そこで今回慢性分裂病患者のリズム形成について打楽器を用いた簡易なリズムテストを行い,正常被検者群と比較し以下の結果を得た。分裂病群では,①リズム形成時間が短く,1拍子系のリズムが多い。②リズムパターンの変化に乏しい。③約半数の者に特徴的な音型が認められ,特に崩壊音型を示す者では思考障害が著明であった。④リズム模倣課題では,特に3拍子系の模倣が困難で,リズム中に休止が入るものの達成率も低かった。また,両手を使用してのリズム模倣課題が著しく劣っていた。⑤旋律のついた課題曲によるリズム打ちでは,マーチ曲のみで達成率が高かった。
 以上の結果は,分裂病ではリズム形成に障害があることを示唆させた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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