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文献詳細

雑誌文献

精神医学37巻11号

1995年11月発行

文献概要

研究と報告

特異な妄想性人物誤認を呈した1例

著者: 加藤忠史1 大東祥孝2 高橋三郎1

所属機関: 1滋賀医科大学精神医学講座 2京都大学留学生センター/大学院人間環境学研究科

ページ範囲:P.1199 - P.1205

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 【抄録】うつ病から双極性障害,さらに精神分裂病という診断の変遷をたどり,てんかん発作も出現するという非定型な経過の中で,特異な妄想性人間誤認症状を呈した,22歳の女性の症例を報告した。この人物誤認は,人物に対する些細な類似点について,何らかの家族関係があるという妄想意味を付与する妄想知覚であり,妄想体系に組み込まれず断片的で,自分と関係のない家族関係にもみられた。その他の特異な精神症状(同一人物の同定の失敗,持ち物や声の否認),てんかん発作および右半球焦点のspike & waveがみられたこと,反響言語,記銘力障害などの脳の器質的障害を疑わせる臨床所見などから,何らかの神経心理学的認知障害が関連している可能性も疑われた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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