icon fsr

雑誌目次

雑誌文献

精神医学37巻12号

1995年12月発行

雑誌目次

巻頭言

いま,精神科医に求められるもの

著者: 風祭元

ページ範囲:P.1244 - P.1245

 平成7年7月から,精神保健法が改訂され,精神障害者に対する社会福祉的援助のある程度の充実が加えられて,精神保健福祉法の略称で呼ばれるようになった。新しい法律は精神科医の目から見るとまだまだ不十分に思われる点が多いが,それでも10年以前と比較すると,精神科医療にとって,法的に少しずつ前進が見られるように思われる。
 また,社会保険診療報酬などの精神科医療の経済的側面についても,いろいろ問題は多いが,以前に比べると精神科医療の無形技術に対する報酬がわずかではあるが認められる方向であり,精神科外来医療の経済的基礎は改善されつつあるように思われる。

展望

血管性痴呆およびアルツハイマー型痴呆概念の誕生—100年前の医学史回顧—その2.アルツハイマー型痴呆

著者: 原田憲一

ページ範囲:P.1246 - P.1253

■老年痴呆dementia senilisの中に隠されたまま―1907年まで
 老年痴呆dementia senilisという言葉が広く老年期の精神障害全体を意味していた長い時代のあと,19世紀が進むにつれて次第に慢性の知的機能低下状態に対して限定的に用いられるようになった経緯はすでに述べた。そして,老年痴呆の中から(あるいは老年痴呆を横に押しやる形で)血管性痴呆が取り出されるようになった歴史を前号で述べた。しかし,今日アルツハイマー型痴呆ないしアルツハイマー型老年痴呆と呼ばれている老年期の痴呆症(その早発型も晩発型も含めて)は,なお疾患概念として知られることなく,老年痴呆の中に埋まっていた。もちろんアルツハイマー型痴呆を彷彿させる個々の症例記載は以前からあった(例えばMaudsley18))。
 19世紀後葉,老年痴呆において血管性痴呆症例が注目され,血管系の病変が重視される中で,老年痴呆をすべて動脈硬化性と考える傾向も生じたが,同時に,血管変化も出血,軟化もなくただ脳が萎縮しているだけの痴呆例の存在に気づかれ始めた。Furstner15)の報告にある萎縮のみの老年痴呆5例もアルツハイマー型痴呆であったろうと思われる。はっきりと血管性痴呆とは違うびまん性脳萎縮の老人脳があることをAlzheimer1)も1894年ドレスデン学会で発言した。そして,彼は1898年の論文2)でもそのことを述べ,神経細胞の変性が動脈硬化なしにみられた例を挙げた。この論文の題名を彼が「老年痴呆と,粥腫状血管病変を基盤とする脳疾患に関する新しい研究」とつけたことからわかるように,Alzheimerははっきりと血管性痴呆と変性型痴呆とを区別して並置したのである。

研究と報告

分裂病と非定型精神病(満田)の発症年齢と性差について

著者: 林拓二 ,   須賀英道 ,   安藤琢弥 ,   松岡尚子

ページ範囲:P.1255 - P.1263

 【抄録】愛知医大精神科に1982年からの10年間に入院し,精神病症状を示した351名を対象に,従来診断とICD-10による分裂病と非定型精神病の性差と発症年齢を検討した。
 分裂病は,いずれの診断にしろ10歳台の後半に発症し,非定型精神病は20歳から30歳台に多くの発症が認められた。発症年齢は一般に女性に遅い傾向を示すが,従来診断では男女間に有意の差は認めず,ICD-10の分裂病で有意の差が認められた。非定型精神病は,いずれの診断でも有意の差が認められた。
 非定型精神病には女性が多く,男性に比べて30歳台前半や40歳台以降にも発症が多くみられ,遺伝負因のない場合も多いことは,女性に特有な生殖作業や更年期障害にかかわる何らかの病態が包含されているように思われる。従来診断の分裂病が比較的中核群より構成されていると考えうるのに対し,非定型精神病はさらに詳細な分類を試みる必要があろう。

観念的防衛の特性からみた境界例と分裂病

著者: 森島章仁

ページ範囲:P.1265 - P.1271

 【抄録】知性化による防衛が働いている症例では,しばしば分裂病か否かの診断が困難なことがある。筆者は,知的防衛の強い2症例を前医から引き継ぎ,担当した。どちらにも異常体験が認められ,症候学的には分裂病を疑いうる症例であった。1例はこれまで分裂病と診断されており,もう1例は,分裂病を疑いながらも,確定診断は保留にされていた。この2症例において,知的防衛の特性を把握していくことにより,両者の存在様態の違いが明瞭になっていくように思われた。その結果,1例目は境界例,2例目は分裂病と考えるのが妥当であった。2症例に共通した防衛を観念的防衛ととらえ,その特性と存在様態の相違について考察を加えた。

自己視線恐怖の1例にみられた“ふれることの過剰性”

著者: 柴山雅俊

ページ範囲:P.1273 - P.1279

 【抄録】ふれることにおいて,自己は他者のふれる動きにふれるとともに,他者は自己のふれる動きにふれる。このようなふれることの構造に注目し,その観点から自己視線恐怖の病態構造について考察した。症例は,衣服をゆるめて緊張を解くと自他の視線が気にならなくなると訴える自己視線恐怖の1例である。そこでは「ふれることの過剰性」を持った自他の意識が,〈自らの異様な身体〉によって妄想的に根拠づけられることが特徴的であった。〈自らの異様な身体〉に対して患者がとる構えを隠蔽的防衛と離断的防衛に分けて論じ,さらに自己身体,衣服,装飾品,異性,他者視線,他者といった対象を“自分を包むもの”としてとらえ,その意義について論じた。

電気けいれん療法により劇的な改善を認めた悪性症候群の1例

著者: 西嶋康一 ,   親富祖勝己 ,   島田達洋 ,   星野仁 ,   石黒健夫

ページ範囲:P.1281 - P.1287

 【抄録】症例は,59歳のうつ病の女性で,入院中2回の悪性症候群(NMS)を発症した。1回目のNMSは,スルピリドの副作用である錐体外路症状の治療のため投与されていたアマンタジンが中止された後に発症した。アマンタジンの再投与,ダントロレン,プロモクリプチンの投与により症状は改善したが,ダントロレンによると思われる急性膵炎,肝炎を認めた。2回目のNMSはその5か月後に発症した。その原因として,トリミプラミンやセチプチリンの投与,アマンタジンやクロナゼパムの減量などが考えられた。この時の治療には,ダントロレンが使用できないこと,精神症状が悪化していることなどのため,無けいれん性の電気けいれん療法(ECT)が行われた。その効果は劇的で,1回目のECTで著明な振戦はほとんど消失し,4回目のECT後までにNMSの症状はほぼ消失した。今回の経験から,症例によっては,ECTもNMSに対して考慮されるべき治療法であることが示唆された。

精神症状で発症し予後良好な麻疹脳炎の1成人例

著者: 橋本博史 ,   切池信夫 ,   小出誠司 ,   松田康秀 ,   大西博 ,   山上榮

ページ範囲:P.1289 - P.1295

 【抄録】精神症状を前景として発症した成人の麻疹脳炎に関する報告は極めて少ない。今回我々は48歳の女性で,発熱,皮疹などの前駆症状もなく突然不眠,異常言動,幻聴などの幻覚妄想状態で発症し,その後けいれん発作,発熱,意識障害,髄膜刺激症状を呈し,昏睡状態が約2週間続いたにもかかわらず,約4か月後に神経学的にはほぼ正常に,約1年後には知的機能も改善しなんら後遺症も残さず治癒した麻疹脳炎の症例を経験した。血中麻疹HI抗体価は256倍まで,髄液中麻疹HI抗体価は4倍まで上昇し,血中麻疹ウイルス特異IgM抗体は陽性であった。本症例にみられた精神症状,診断,経過などについて若干の考察を加えた。

幻覚妄想状態および著しい知能障害を呈した多発性硬化症の1症例

著者: 朝倉聡 ,   宮本環 ,   香坂雅子 ,   高橋三郎 ,   小山司

ページ範囲:P.1297 - P.1302

 【抄録】5歳時より多発性硬化症の診断を受け,4回目の増悪時に,幻覚妄想状態および著しい知能障害を呈した20歳女性(左利き)の1症例を経験した。MRIでGd-DTPAで増強される活動性病変が,左側側脳室周囲白質と右側視床に認められ,視床病変は直径約1cmと大きく内側部に存在していた。腫瘍,梗塞などによる両側または優位側の視床内側部の障害により幻覚妄想状態が出現したという報告があり,また同部位の障害で記銘力障害が出現したという報告もある。本症例における幻覚妄想状態および著しい知能障害については右側視床の内側部にかかる活動性病変が関与していた可能性が考えられた。幻覚妄想状態に対する治療としては少量のハロペリドールが有用であったが,知能障害の改善は認められなかった。

ライフ・イベントとしての出産—恐慌性障害,全般性不安障害,および大うつ病における比較

著者: 塩入俊樹 ,   村下淳 ,   高橋三郎

ページ範囲:P.1303 - P.1306

 【抄録】ライフ・イベントとしての出産に関して調査を行った。対象は,20歳代から40歳代までの妊娠可能な女性患者で,当科を初診し,DSM-ⅢおよびDSM-Ⅲ-R診断基準によって恐慌性障害(PD群;70例),全般性不安障害(GAD群;82例),および大うつ病単一エピソード(MD群;71例)と診断された合計223例とした。発症1年以前のライフ・イベントが出産であった者は21名で,その割合は,MD患者で有意に高かった(PD群:2.9%,GAD群:7.3%,MD群:18.3%)。第1子出産後に発症した者は21例中16例(76.2%)を占め,また4分の3以上の者では,出産後3か月以内に発症していた。また妊娠あるいは流産をライフ・イベントとした者は4例で,そのうち3例がGAD群,残りの1例がPD群であった。

飲酒に関する意識と実態についての調査—上海および横浜における比較研究

著者: 飯塚博史 ,   王祖承 ,   原田憲一 ,   金子善彦 ,   方胎儒 ,   徐鶴定 ,   厳和駸 ,   斎藤惇 ,   奥平謙一 ,   矢花辰夫 ,   高橋秀雄

ページ範囲:P.1307 - P.1315

 【抄録】中国および日本における青少年の飲酒の実態を比較検討するために,上海,横浜という2都市において,質問紙法によるアンケート調査を実施した。対象は,それぞれの国の医学生,看護学生および高校生で,その合計は中国人学生569人,日本人学生703人である。飲酒の頻度,量,種類などに関しては,日本人学生のほうが中国人学生よりも多かった。またアルコールを飲む理由について,日本では酔い心地に対する期待感を挙げた者が多かったが,中国では儀式,祭礼,健康に対する有効性に注目した回答が多かった。さらに,アルコール依存症についての概念や,酩酊上の迷惑行為に対する考え方にも,2国間で相違が認められた。これらの回答を比較検討した上で,今後のアルコール関連障害に対する対策について,若干の考察を行った。

短報

ミアンセリン投与により無呼吸がみられたせん妄の2症例

著者: 浜田真理子 ,   松島英介 ,   渥美義賢 ,   融道男

ページ範囲:P.1319 - P.1322

■はじめに
 ミアンセリンは高齢者におけるせん妄に効果があると報告され,臨床に用いる試みがなされている3)。ミアンセリンはセロトニン2受容体,アドレナリンα1,α2受容体,ヒスタミンH1,受容体などを遮断する2,7)ことが知られているが,せん妄を改善する薬理学的機序については明らかになっていない。一方,ミアンセリンは,心毒性が弱く5),重篤な呼吸抑制などの副作用がない1)という安全性を合わせ持つことも高齢者のせん妄に用いる場合,利点とされている。しかしながら,開胸手術後の1例と慢性腎不全で腹膜透析中の1例で,せん妄状態を呈したためにミアンセリンを投与したところ,催眠効果の発現と合わせて無呼吸がみられたのでその経過を報告する。

飲用後8か月を経て意識障害,てんかん発作を呈した有機リン中毒の1例

著者: 中村眞 ,   國見由佳理 ,   福田守男 ,   上坂信哉 ,   上野修一 ,   佐野輝 ,   松井博

ページ範囲:P.1323 - P.1326

 有機リン剤系農薬は,パラチオン系農薬と異なり,哺乳類に対して比較的毒性が低く,事故による急性中毒は非常に少ない6,9)。しかし,自殺目的や過誤で飲用した場合,多くの市販製品は数十ml以上で致死量に達する毒物であり,重篤な急性中毒症状を呈して時には死亡する。有機リン剤はアセチルコリンエステラーゼ酵素活性を阻害し,急性有機リン剤中毒では体内のアセチルコリンが蓄積する4)。アセチルコリンは,副交感神経(節前および節後線維),交感神経(節前線維),神経筋接合部,さらに中枢神経系での神経伝達物質であり,これらに対するアセチルコリン過剰の症候が出現する。末梢組織では,ムスカリン作用として平滑筋の収縮,外分泌の亢進,徐脈を引き起こし,ニコチン作用として筋攣縮,筋力低下を引き起こす。急性症状はアセチルコリンの過剰によるものがほとんどであるが,亜急性から慢性期にかけてintermediate syndromeや遅発性神経障害を起こすことが知られる6,9)。今回我々は,自殺目的で有機リン剤を飲用した症例を経験したので報告する。

気分障害と精神分裂病の世代間伝達の特徴についての検討—表現促進の有無

著者: 今村明 ,   岡崎祐士 ,   藤丸浩輔 ,   福迫貴弘 ,   浜田旭 ,   辻田高宏 ,   松本純隆 ,   中根允文 ,   新川詔夫

ページ範囲:P.1327 - P.1330

 近年の気分障害や精神分裂病(以下分裂病と表記する)のDNAマーカーによる多発家系を対象とする連鎖研究は,初期の陽性結果を除いて,大部分が陰性の結果という困難に直面している。これらは方法上の制約からlod score法は優性遺伝を,同胞対法sib pair methodは劣性遺伝を仮定して行われている。陰性結果の原因としてはいくつかの理由が考えられるが,これらの疾患の遺伝的伝達様式が不明であるために,異質な家系を総和するための感度の低下も1つの要因と考えられる。したがって連鎖研究の困難を打開する1つの方法として,特徴ある家系内伝達を示す亜群に的を絞り感度を上げる工夫が必要である。
 ところで,優性遺伝において分離比を乱す要因として,浸透率などと共に表現促進anticipationがある。世代が下がるにつれて,発症年齢が早期化し重症化する現象が知られており,これを表現促進という。この数年,表現促進に対応する分子遺伝学的な実体として3塩基反復配列(TripletrepeatsまたはTrinucleotide repeat sequences)の増大という現象が見い出された。この特徴を示すトリプレット・リピート病として,現在までに脆弱X症候群,筋緊張性ジストロフィー,ハンチントン病,などの疾患が知られている。先行研究においては,気分障害や分裂病に対しても表現促進が存在する可能性が示唆されている。しかしなお,その種の研究は極めて少ない。

リチウム併用が著効を示した抑うつ症状を伴う精神分裂病の2症例

著者: 鈴木衣穂子 ,   井上猛 ,   工藤静華 ,   傳田健三 ,   小山司

ページ範囲:P.1331 - P.1333

 抗精神病薬とのリチウム併用が精神分裂病の症状を改善することが,これまでに6つの二重盲検試験によって報告されている1,2,4,6〜8)。これらの報告において,リチウム併用によって改善した症状は衒気症と不自然な姿勢7),非協調性7),興奮2,7),精神病症状1),不安-抑うつ症状4,8)などであった。しかし,これら6つの研究のうち5つの研究では対象に分裂感情障害が含まれており,精神分裂病に対象を限定して試験を行ったのはTeraoらの報告8)のみである。Teraoらは抗精神病薬を服用中の慢性精神分裂病患者(21人)にリチウムを偽薬との二重盲検(crossover)で与薬し,Brief Psychiatric Rating Scale(BPRS)の不安-抑うつサブスケールに有意な改善がみられたことを報告した8)。今回我々は,抑うつ状態を呈した精神分裂病患者に対してリチウム併用療法を試み,短期間で抑うつ状態の著明な改善がみられた2症例を経験したので報告する。

紹介

近世京都岩倉村における「家庭看護」(下)

著者: 跡部信 ,   岩崎奈緒子 ,   吉岡真二

ページ範囲:P.1335 - P.1339

第3章参籠生活の諸相
 1.大雲寺での治療
 元禄年間に眼病平癒のために大雲寺に参籠した山端村嘉兵衛は,特別な治療をうけず,本尊観音の前でただひたすら読経にはげんでいたようである。では,後年参籠するようになった精神病者たちは,大雲寺でどのような治療をうけていたのだろうか。
 まず第一にあげられるのは念仏である。

動き

「第7回日本アルコール精神医学会」印象記

著者: 中村純

ページ範囲:P.1340 - P.1341

 7回目を迎えた日本アルコール精神医学会は1995年7月27日,28日の両日,秋田大学医学部精神神経科学教室の菱川泰夫教授を会長に秋田ターミナルホテルで開催された。竿灯祭りを1週間後にひかえた盛夏の秋田は湿度が低くさわやかで,九州から来た者にとっては別世界のような快適さであった。
 学会は特別講演1題,教育講演2題,一般演題23題,2人の演者によるテーマ討論1題の構成からなっていた。一般演題があまり増えていないことを心配したが,それぞれの演題が充実したものであったこと,その他の講演や討論が活発になされたこともあり,討論時間が短すぎるほどで大いに勉強になった。

「精神医学」への手紙

Letter—「躁病者犯罪の行動特性」について

著者: 高岡健 ,   深尾琢

ページ範囲:P.1342 - P.1342

 1991年の本誌において早川ら1)は,起訴前精神鑑定例の中から躁病8例を取り出し,犯行時刻が午前中に集中していることを指摘したうえで,これらを活動延長型3例と早期活動型5例に分類している。前者は前夜から就寝することなく犯行がなされた例で,全例が自己の欲望を満たすため無計画に犯行をなしているのに対し,後者は特定の人物に怨恨を抱き報復目的の犯行をなしている点で相違があるとしている。早川らは「このような傾向が一般的なものであるか否か…いっそう詳しい検討を重ねていきたい」と付記しているが,躁病の犯罪例自体が極めて少ない2)こと,および早川らの対象が関東C地方検察庁管内に限られていることに鑑みるなら,かかる傾向の妥当性を検討するためには他の地方からの事例が集積される必要があると考えられる。そこで,筆者らが最近行った中部G地方検察庁管内の起訴前鑑定例を紹介する。
 症例1は,25歳の男性。犯罪歴はない。明らかにうつ病と考えられる既往を持ち,犯行2か月前から躁状態に陥っていたが治療歴はない。犯行前夜は遅くまで飲酒し,そのまま眠らず,「豪遊したいため」午前9時に強盗を行うに至った。無責任能力と鑑定され,起訴猶予となり,その後医療保護入院となった。症例2は,27歳の男性。犯罪歴はない。躁病と考えられる状態のため2度の入院歴がある。犯行2週前より躁状態に陥り治療を受けていたが服薬は不規則であった。犯行前夜は「会社へ見回りに行く」と言って出掛け,そのまま眠らず,午前3時に信号無視をした車を止め,運転していた女性に対し強姦致傷をなすに至った。限定責任能力と鑑定され,求公判となった。

--------------------

精神医学 第37巻 総目次

ページ範囲:P. - P.

KEY WORDS INDEX

ページ範囲:P. - P.

精神医学 第37巻 著者名索引

ページ範囲:P. - P.

基本情報

精神医学

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-126X

印刷版ISSN 0488-1281

雑誌購入ページに移動

バックナンバー

icon up
あなたは医療従事者ですか?