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研究と報告
自己視線恐怖の1例にみられた“ふれることの過剰性”
著者: 柴山雅俊1
所属機関: 1虎の門病院分院精神科
ページ範囲:P.1273 - P.1279
文献購入ページに移動 【抄録】ふれることにおいて,自己は他者のふれる動きにふれるとともに,他者は自己のふれる動きにふれる。このようなふれることの構造に注目し,その観点から自己視線恐怖の病態構造について考察した。症例は,衣服をゆるめて緊張を解くと自他の視線が気にならなくなると訴える自己視線恐怖の1例である。そこでは「ふれることの過剰性」を持った自他の意識が,〈自らの異様な身体〉によって妄想的に根拠づけられることが特徴的であった。〈自らの異様な身体〉に対して患者がとる構えを隠蔽的防衛と離断的防衛に分けて論じ,さらに自己身体,衣服,装飾品,異性,他者視線,他者といった対象を“自分を包むもの”としてとらえ,その意義について論じた。
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