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文献詳細

雑誌文献

精神医学37巻12号

1995年12月発行

研究と報告

電気けいれん療法により劇的な改善を認めた悪性症候群の1例

著者: 西嶋康一1 親富祖勝己1 島田達洋1 星野仁1 石黒健夫1

所属機関: 1自治医科大学精神科

ページ範囲:P.1281 - P.1287

文献概要

 【抄録】症例は,59歳のうつ病の女性で,入院中2回の悪性症候群(NMS)を発症した。1回目のNMSは,スルピリドの副作用である錐体外路症状の治療のため投与されていたアマンタジンが中止された後に発症した。アマンタジンの再投与,ダントロレン,プロモクリプチンの投与により症状は改善したが,ダントロレンによると思われる急性膵炎,肝炎を認めた。2回目のNMSはその5か月後に発症した。その原因として,トリミプラミンやセチプチリンの投与,アマンタジンやクロナゼパムの減量などが考えられた。この時の治療には,ダントロレンが使用できないこと,精神症状が悪化していることなどのため,無けいれん性の電気けいれん療法(ECT)が行われた。その効果は劇的で,1回目のECTで著明な振戦はほとんど消失し,4回目のECT後までにNMSの症状はほぼ消失した。今回の経験から,症例によっては,ECTもNMSに対して考慮されるべき治療法であることが示唆された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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