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短報
気分障害と精神分裂病の世代間伝達の特徴についての検討—表現促進の有無
著者: 今村明12 岡崎祐士2 藤丸浩輔3 福迫貴弘1 浜田旭2 辻田高宏4 松本純隆5 中根允文2 新川詔夫4
所属機関: 1長崎県立大村病院 2長崎大学医学部精神神経科学教室 3国立長崎中央病院 4長崎大学医学部原研遺伝学教室 5道ノ尾病院
ページ範囲:P.1327 - P.1330
文献購入ページに移動ところで,優性遺伝において分離比を乱す要因として,浸透率などと共に表現促進anticipationがある。世代が下がるにつれて,発症年齢が早期化し重症化する現象が知られており,これを表現促進という。この数年,表現促進に対応する分子遺伝学的な実体として3塩基反復配列(TripletrepeatsまたはTrinucleotide repeat sequences)の増大という現象が見い出された。この特徴を示すトリプレット・リピート病として,現在までに脆弱X症候群,筋緊張性ジストロフィー,ハンチントン病,などの疾患が知られている。先行研究においては,気分障害や分裂病に対しても表現促進が存在する可能性が示唆されている。しかしなお,その種の研究は極めて少ない。
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