icon fsr

文献詳細

雑誌文献

精神医学37巻2号

1995年02月発行

文献概要

研究と報告

受動攻撃的心性—精神病理と精神療法的意義

著者: 佐藤裕史1 山口隆12 福留瑠美3

所属機関: 1日本大学医学部精神神経科学教室 2広島修道大学臨床心理学教室 3広島大学総合科学部学生相談室

ページ範囲:P.129 - P.136

文献購入ページに移動
 【抄録】受動攻撃性は,戦後米国で提唱され,初版以来のDSMにこの名を冠して人格障害の1亜型として掲載されてきた概念であるが,ヨーロッパの人格類型論やICDには対応する概念がなく,近年その診断学上の妥当性や重要1生に対する疑義が説かれている。また日本では境界型人格障害に関心が集中し,受動攻撃性人格障害はあまり取り上げられず,人口に膾炙しないまま現在に至っている。しかし,独立した人格類型を構成しないにせよ,受動攻撃性は,心性・防衛機制ないし反応パターンとしてみると,難治性うつ病や心身症などの強い治療抵抗性を示す病態の理解や精神療法的接近にとり臨床的意義を有すると思われる。自験例から受動攻撃性への対応の失敗例・成功例を提示し,「甘え」(土居),ocnophilia(Balillt)やalexithymia(Sifneos)などの精神病理学的概念と受動攻撃性との関連について論じた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?