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研究と報告
長期にわたり精神分裂病と診断されていたモザイク型Klinefelter症候群の1例
著者: 塩入俊樹1 村下淳2
所属機関: 1滋賀医科大学精神医学講座 2滋賀里病院
ページ範囲:P.171 - P.178
文献購入ページに移動 【抄録】46年間にわたり精神分裂病と診断され入院治療されていたが,身体合併症に対する処置により,たまたま矮小睾丸症が認められた結果,モザイク型Klinefelter症候群を伴っていることが判明した1例について報告した。初発症状は,幻覚・妄想と行動異常が一過性に現れ,いったん寛解した後,再び妄想と精神運動興奮,さらに誇大・血統的内容を持つ妄想構築があり,この幻覚妄想状態は数年の問期性をもって変動する傾向があった。また高度の人格荒廃には至らなかったが,治療反応性が悪かった。これらは,これまでに報告されている10例の47, XXYの本症候群の予後が比較的良いのに比べて,異なっている結果であった。精神症状を呈し,生殖能力が存在していたと思われる46, XY/47, XXY/48, XXXYモザイク型Klinefelter症候群は極めて稀なものと思われるので報告し,若干の文献的考察を加えた。
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