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「第35回日本児童青年精神医学会総会」印象記
著者: 古元順子1
所属機関: 1岡山大学教育学部
ページ範囲:P.218 - P.219
文献購入ページに移動 第35回日本児童青年精神医学会総会は,中根晃東京都立梅ケ丘病院長を会長として,1994年10月26日〜28日の会期中,日本都市センターで開催された。実はこの年の7月にはサンフランシスコで国際児童青年精神医学会総会が開かれ,本学会員が68演題もの多数の研究発表を行うという快挙を遂げたので,その直後の東京総会では参加者が限られるのではないかと危惧が持たれていたと聞く。しかし開幕すると,魅力的なプログラム編成に応じて,93演題の研究発表に700名を超える学会員が集う盛会となった。
本学会のメインテーマは,目覚ましい神経科学領城の研究知見を踏まえて,児童の分裂病を考えるというもので,融道男氏(東京医科歯科大学神経精神科教授)による記念講演が行われた。周知のように,氏は分裂病の異種性についての一連の生物学的研究の中で,世界に先駆けてドーパミン受容体遺伝子のコドン311すなわち,システイン突然変異を発見し,分裂病群内での分布を明らかにした研究者である。氏は「精神分裂病の成因をめぐって」の演題で,ドーパミン伝達過剰仮説に焦点を当て,D2/Cyst 311を発見するに至った経緯をわかりやすく図解した。また,システインを持つ人は陽性症状を示す分裂病への易罹病性を持ち,抗精神病薬に反応するサブタイプと関連することを示し,システインを持つ人の生き方を研究することが,分裂病予防につながるとの貴重な示唆を聴衆に与えた。
本学会のメインテーマは,目覚ましい神経科学領城の研究知見を踏まえて,児童の分裂病を考えるというもので,融道男氏(東京医科歯科大学神経精神科教授)による記念講演が行われた。周知のように,氏は分裂病の異種性についての一連の生物学的研究の中で,世界に先駆けてドーパミン受容体遺伝子のコドン311すなわち,システイン突然変異を発見し,分裂病群内での分布を明らかにした研究者である。氏は「精神分裂病の成因をめぐって」の演題で,ドーパミン伝達過剰仮説に焦点を当て,D2/Cyst 311を発見するに至った経緯をわかりやすく図解した。また,システインを持つ人は陽性症状を示す分裂病への易罹病性を持ち,抗精神病薬に反応するサブタイプと関連することを示し,システインを持つ人の生き方を研究することが,分裂病予防につながるとの貴重な示唆を聴衆に与えた。
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