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文献詳細

雑誌文献

精神医学37巻3号

1995年03月発行

研究と報告

てんかん患者にみられる幻覚妄想状態の発症状況と抗てんかん薬治療の関与

著者: 松浦雅人1 坂井禎一郎1 小島卓也1 先崎章2 大久保善朗3

所属機関: 1日本大学医学部精神神経科学教室 2埼玉県総合リハビリテーションセンター 3東京医科歯科大学医学部神経精神医学教室

ページ範囲:P.259 - P.267

文献概要

 【抄録】てんかんの治療中に意識清明下に幻覚妄想状態が初発した30例を,精神症状の発症に抗てんかん薬が関与した12例と,関与しなかった18例とに分けた。前者は,抗てんかん薬の怠薬後が4例,追加・増量後が6例,過量服薬後が2例で,てんかん精神病類型では発作後精神病が4例,交代性精神病が3例,混合型が4例で,92%の例が臨床発作の消長と関連して幻覚妄想状態が発症した。一方後者では,89%の例は臨床発作と精神症状の発症とが関連せず,心因や性格・環境因が関与していると思われた。両群ともほとんどの例で向精神薬が追加投与され,後者では治療に対する反応が悪く,精神症状が持続した例が39%にみられた。両群とも多くの例で寛解後にも向精神薬が維持投与されたが,30数%の例で同様の幻覚妄想状態が再発し,再発脆弱性が示唆された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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