文献詳細
研究と報告
Folie à deuxを呈し“宇宙語”で交話する1夫婦例
著者: 堀端廣直1 郭哲次1 坂口守男1 小野善郎1 百渓陽三2 吉益文夫1 東雄司34
所属機関: 1和歌山県立医科大学神経精神科 2ももたにクリニック 3和歌山県立医科大学 4麦の郷障害者地域リハビリテーション研究所
ページ範囲:P.297 - P.302
文献概要
夫婦は,鍼灸業は停止し,近隣から孤立していった。約2年後に夫は“宇宙語”と称する言葉をしゃべり始め,その半年後には妻も同調し,“宇宙語”による夫婦間の交話が約2年間続いた。二人は不穏行為などで,トラブルを頻繁に起こしていたが,夫の父親が近所の人々からの苦情などに対応し,当人たちに経済的援助もしていた。夫婦の精神科治療への導入は困難であったが,通行人への暴力行為を契機として,妻が措置入院となり約4か月後,軽快退院した。夫は妻との分離後,約3週間目には妄想をなくしていた。感応の成立過程とその方向,“宇宙語”での交話によって夫婦の共生的関係が強くなり,父の庇護により二人の感応精神病が持続したことについて考察した。
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